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PRIDE 枯れない泪 【ネット小説】

「行ってきまーす。」

大翔は凛華子を抱きしめて、優しくキスをする。

「行ってらっしゃい。」

笑顔で大翔を見送る。

凛華子は、大翔を店舗の近くまで送ってきていた。

なぜなら、大翔は車を所持していないので、凛華子が送り迎えをしていた。

 

大翔を送って、新居に着く。

(掃除しよ。その後、買い物行くかな。)

掃除機を丁寧にかけていく。

そのあと、クイックルワイパーで拭き取って行く。

新居だからこそ、綺麗にしていたい。

ウォークインクローゼットに入る。

(あー、見たくなかった)

中には、女性の服。

凛華子が畳んで置いていた。

洋服は大翔と凛華子で分けてかけていた。

だから、すぐに分かる。

新居に引っ越して来ても、心の痞えが取れない。

それに、もう一つ気なっていたことがあった。

それは、いつも大翔が胸にしていた小さなペンダント。

聞けなかった。聞けずにいた。

 

大翔を迎えに行く。いつもの時間。20時半過ぎ。

「着いたよ。」ライン送信。

大翔はすぐに出てきた。

「ただいま。」凛華子に軽くキスをする。

車の中で手を繋ぐ。

 

家に着き、食事の準備をした。

いつでも食べれるようにしてある。あとは温めるだけ。

「今日は、なんや?(笑)」

「いつもと変わらんよ。」

しょうが焼きと小松菜のおひたし、しめじとお豆腐のお味噌汁、だし巻き卵。

「いただきます!」

大翔は美味しそうに食べる。いつもそうだ。

純粋に嬉しい。

作ったものを好きな人が食べてもらえることが

こんなに嬉しいなんて、凛華子は感じたことがない。

作ることが楽しい、食事が楽しい。

一緒に食べることが楽しく、幸せだと思う。

 

凛華子は口にした。

口にしたというより、言葉にしてしまった。

「あのさ、あの洋服、誰の?」

「あー、あれか。」

大翔は凛華子の目を見ない。

「元カノ。」

「何であるん?」

「勝手に送ってきた。」

「靴も?」

「そそ。」

「マグカップは?」

「あれは自分で買った。」

「化粧水は?」

「あれは、俺が自分で買った。肌乾燥するし。」

「靴は?毛布は? 」

「全部勝手に送ってきた。」

言葉が見つからない。

分からないし、理解できない。

「何で捨ててないん?」

「別に?」

「付き合ってるん?」

「いいや。別れた。別れようって言った。」

「いつ?」

「2月くらい?本人納得してるか知らんけど。」

(何それ。)

もうそれ以上聞くこともなかったし

聞く言葉も見つからなかった。

「あのさ、奥さんのことやけど、離婚したんいつ?」

「離婚はしてない。離婚調停中。」

「はい?」

 

【事実】と【真実】が少しづつ明かされていく。

知りたいけれど、知りたくはない。

 

「俺が風呂入ってる時、スマホ見られたんだよね。」

(はい?)

「元カノからライン入ってて、それが原因。

翌日、職場来て大変やったわ(笑)」

(いや、笑えない。)

「元カノと俺は別々の部署になったんやけどね、結果。」

(何を言ってるの?)

「両親も一緒に来てたから結構大変やった。

でも上司がええ人で、俺のこと分かってくれてたからさ。」

(はい?何を分かってたん?)

「その両親が厳しくて、束縛されてたってゆうか。

居心地悪かったていうか、居場所がなかったていうか。」

(それで?)

「元カノが一切謝らへんからめっちゃ怒って職場来たんやけどね。」

(当たり前やろ。)

「元カノは職場でも評判悪かったから。」

(だから何?)

 

さっぱりだった。

理由になってないし、説明できていない。

なぜ、【元カノ】のものがあるのか。

どう理解すればいい?

理解できないあたしがおかしい?

 

「そうなんや。」

凛華子はそんな事を言った。

自分のことじゃないようだった。

 

それからの毎日、不信感と自己嫌悪でいっぱいだった。

鏡で自分の顔が映る。

「笑えてないな。笑えない。」そう呟く。

 

「俺、けじめつけに行くわ。凛華子も一緒に行く?」

突然、翔は凛華子に切り出した。

その日、翔は仕事は休みだった。

長崎へ行くという。

奥さんと元カノのいる場所へ。

「わかった。」凛華子は頷いた。

 

車は長崎県に入った。インターで降りる。

「凛華子はどこで待ってる?時間はそんなにかからないから。」

大翔がいう。

すると、突然大翔のスマホが鳴る。

奥さんからだ。大翔が出る。

「まだ、かかるの?」

イライラしたような声が少し聞こえる。その横で、小さな子どもの鳴き声。

「もう着くから、待ってて。」

(あー、こんな感じ、本とかだったら読んだことある。)

凛華子は思う。

(今、あたしがその状況?)

なんか笑える。

現実感がない。他人事みたいだった。

 

凛華子は小さな名前も知らないカフェで待つことにした。

大翔と車は走り去る。

店へ入り、カフェオレを頼む。

「お待たせいたしました。」

店員さんがテーブルにカフェオレを置く。

「ありがと。」

凛華子はそういうとうつむいた。

こらえていた泪がこぼれそうだった。

 

瞼を閉じる。

大きな泪の粒が水色のスカートの上に落ちた。

泪は止まらなかった。

【絶対泣かない】

そう決めていたのに。

泪は止まることを知らない。

こぼれ落ちる泪は、水色のスカートを染めていく。

【絶対泣かない】なんてできなかった。

弱かった。

【今だけは、泣いていい。弱くていい。】

カフェオレに浮かぶ氷が解けていく。

泪が枯れることはなかった。

 

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