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Visual 光と影 【ネット小説】

行き違う女性をつい見てしまう。

癖になっているのかもしれない。

 

「ねえ、何であたしと結婚したの?」

佳央莉は祥に尋ねた。よくあることだった。

「佳央莉、その質問どう答えたら正解なわけ?(笑)。」

正解なんてなかった。

どう答えて欲しいというのもなかった。

ただ【自信】がなかった。

「俺は【キレイ】な奥さんがいて、料理が上手くて

一緒にいて【心地いいから】結婚した。」

「そっか。」

佳央莉は行き交う人を見る。

「佳央莉の正解はいつも大変だよ(笑)。」

「そうだね(笑)。」

佳央莉も笑った。

 

結婚して何年になるだろう。

ふと、目の前にいる陽介を見る。

「今日のとんてきはいつもより美味いな。」

そう言って、優しく美智子に笑いかける。

「ソース、いつもと作り変えたのか?」

「そうね。」

ふっと美智子は笑う。

二人だけの食卓。二人だけの時間。

十分じゃないか。本当にそう思う。

陽介は浮気など一度だってしたことはなかった。

美智子を一番に大切にしてくれた。

それは、本当によく分かる。

仕事から真っすぐ家に帰り

子どもたちや美智子との時間を大事にしてくれた。

休日は、家族との時間を過ごした。

家を建てる時も、美智子の案を優先してくれた。

いくら仕事があっても、美智子との約束は守ってくれていた。

【幸せにしてくれている】そう感じていたし

今もそう感じている。

だから【幸せ】なんだと感じなければならない。

 

それなのに心に抱くこの感情。

知りたくない、とずっと見ないでいたし

感じないようにしていた。

真鍋佳央莉の存在は、自分にさらなる【陰】を落とした。

佳央莉は綺麗だった。誰から見てもそうだろう。

【華やか】だった。

そしてあの真っすぐな瞳は、綺麗だった。

動じない、自分を失わない瞳。

汚れを知らない、守られた瞳。芯の強い瞳。

そんな瞳が真鍋佳央莉に【光】が射し、

美智子自身に【影】を落とした。

 

「久しぶりじゃん!いつぶり?」

沙耶は祥に腕を回してきた。

別れて、佳央莉と結婚して、連絡もしてなかった。

もう5年以上経つだろうか。

沙耶はほとんど変わっていなかった。

変わっていたのは、左手の薬指に光るリング。

「結婚したのか?」

「まあね。あたしもするでしょ(笑)。」

「そりゃそうだ(笑)。」

「祥も結婚したんでしょ?(笑)。」

「まあな。」

祥はうつむき、薄く笑う。

 

佳央莉との出逢いは一目惚れだった。

佳央莉は【綺麗】だったし【魅力的】だった。

何故、彼氏がいないのか不思議だったし

【彼女】にしたいとも思った。

ただ、その【彼女】にしたいと思った理由。

沙耶が関係していない訳じゃなかった。

別れたばかりだった。

男ができたことを知ったばかりだった。

俺の何かが崩れ去る気がした。

【嫉妬】だったのか。

【プライド】が許さなかったのか。

ただ、別れて、他の男の元へ行き

【好きだった】ことに気付いた。

失って気付いたこと。【執着】。

 

佳央莉は、気付いていた。

祥が誰かと会っていたことに。

けれど、何も言わなかったし、聞くこともしなかった。

今二人でいる【幸せ】を壊したくはなかった。

「赤ちゃん、次頑張ろ!」

その言葉を信じたかった。

どんな嫌なことがあっても祥は味方になってくれる。

 

「それで仕事続けれる?納得したの?」

祥が佳央莉に問いかける。

「納得なんかしてないし、できないよ。

何であんなこと言われたのか分からない。」

佳央莉はうつむく。

「それさ、仕事に関係してるならわかるよ?色々言うの。

けどさ、子どものことはアウトないよ。夫婦のことじゃん。」

確かにそうだった。貯蓄のことのそう。

家庭のことに踏み込み過ぎてた。

「100歩譲って、今回の事は収まったとしよ。

けど、その人とうまくやってけるの?」

言葉に詰まる。

「そうでしょ?許せる言葉とそうじゃない言葉がある。

ましてや他人で初対面でしょ。ないわ。」

確かにそうかもしれない。不安しかなかった。

この場は乗り切れても、【許す】ことなどできるのだろうか。

「佳央莉はさ、何にも言えないだろうって思って言った部分もあるんじゃない?

言い返したりしたの?」

 

言葉が見つからない。

「俺が話すよ。どのみち黙ってていいことじゃない。」

「いや、あたしが先に言うよ。」

「言えるの?」

「おかしいことはちゃんと言わないと。

働く以上ここは言わないとダメだと俺は思うね。」

祥は佳央莉の肩を叩いた。

 

向き合うしかない、あの【言葉】に。

 

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