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Visual リフレイン 【ネット小説】


働くことを【選択】をし

もう一度【自分自身】とも【美智子】とも向き合う

【覚悟】をしたこと。

美智子のことを【知る】ことは必要だと思ったし

仕事を辞めると判断することも短絡的だったかもしれない。

そう思い返した。

 

毎日仕事に向かうけれど、気が重かった。

美智子とは顔を、目を合わせることはなかった。

同じ部屋、空間にいても【いない】かのようにすることが

苦しかった。

他の職員はこのことを知らない。話してもいない。

話すべきことでもない。

ただ、淡々と業務だけをこなし、仕事をし

終えて帰宅する日々が続く。

(いつまで続くんだろ)

佳央莉は思う。

 

ある日、理事長にふと話しかけられた。

「あれから川口とはどうですか?」

(どうって?)

「特に何もありません。話していませんが。」

「そうですか。無理はしていないですか?」

していないと言えばしていないことはない。

けれど、美智子のことを考えると

美智子もいろいろ考えてはいるだろうと思った。

「何かあったら私を見てれば分かりますよ。

分かりやすいんで(笑)。」

笑うことしかできなかった。

「他の職員の方にもなにか相談します。

だから大丈夫です。」

「なら良かった。気になって。

うちの職員に悪い職員はいないんです。

辞めると判断するにしても

そこは分かってもらいたかった。

きちんと職場の人間を把握をして欲しかった。」

一瞬なにを言っているのか理解できなかった。

(あー、そういうことね)

佳央莉はすぐに理解する。

「分かってます。ご心配、ありがとうございます。」

頭を下げて、教室へ急いだ。

 

理事長に対し、【理解ある人】だな

そう感じていた。

柔らかい雰囲気で、子どものことを考えていて。

しっかり自分の生き方を持ち、

仕事へのビジョンをも持っている。

憧れさえ抱いた。

 

働き始めて、たまに見る疲れたような表情と冷たい口調。

そのギャップが気になってはいた。

「もうあの子は来ないから、もういいわ。」

切り捨てるような言い方。

経営者だからなのかもしれない

と、どこかで言い聞かせてた。

あれだけ熱心に声をかけ、親身に相談にも乗っていたこと。

人って【見た目】じゃ分かんないな。

佳央莉はそう思う。

 

疲れて帰ると、祥は「おかえり」と迎えてくれる。

佳央莉は【大人の話】はしなかった。

【子どもの話】をよくした。

「佳央莉は本当にこういう仕事が向いてんだな(笑)。」

祥は佳央莉の頭をなでる。

子どもは可愛い。素直で真っすぐだ。

【言うことを聞く】という意味じゃなく

【どうして?】といっしょに考えることが一番好きだった。

 

不思議なことはたくさんある。

なぜそうなるのか。説明できないことが多くある。

【どうして?】と思っても当然だろうとおもう。

大人の中で当たり前の世界でも

【どうして?】の過程はある。

いつしか当たり前となってしまうのが大人だし

そんなことで全部立ち止まっていたら進むことなどできないだろう。

 

少なからず【疑問】を抱きながら生活しているのに

言えなかったり、今更聞けなかったりする。

だから佳央莉は【どうして?】を

子どもと考えることが好きだった。

 

祥が誰かと会っていたこと。

佳央莉は聞かないし、聞けない。

聞かないのは、祥を信じているから、ということもある。

聞けないのは、【聞く】ことで祥に対する【信頼】を

自ら壊していく気がするからだった。

 

でも、祥の目を見れば分かる。

声を聞けば分かる。

言動で分かる。

「何かあったの?」

「何もないよ。普通だよ。」

【普通】じゃないから聞いてる。

【普通】は取り繕うものじゃない。

あくまで【自然体】のこと。

聞く必要もないし、答える必要もない。

 

「嫌なんだよ、佳央莉のそういう顔」

その言葉がリフレインする。

 

何かが音をたてる。

【どうして?】

 

佳央莉に影が落ちる。

光を見つける。

 

それはどこ?

 

遠くで子どもの声が聞こえた。

 

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