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Visua Face~届けたい言葉~ 【ネット小説】


戻らない時間。

取り戻せない時間。

 

だから【振り返る】ことなどしない。

 

佳央莉は決めた。

 

振り返っていても前には進まない。

進めない。

【影】があるのは【光】があるから。

そう信じたい。

 

美智子は佳央莉の目を見れずにいた。

【後悔】を受け入れたけれど

佳央莉とは向き合えてはいなかった。

届かなかったかもしれない【言葉】と【本当の想い】。

それだけが心を渦巻く。

 

佳央莉の顔を見る。

何もなかったかのように業務をしている。

そう【何もなかった】ように。

 

【後悔】し想いを告げたいなんて自分勝手すぎるんじゃないのか。

美智子は思う。

そう思うと、なおさら顔を見て、目を見ることなどできなかった。

(なんであんなこと言ってしまったんだろ)

溜息をつく。

【言ってしまった言葉】は届いた。

【言わなければならない言葉】は届いていない。

ちゃんと話さないといけない。

美智子はそう思った。

 

ある朝、佳央莉は一番に出勤していた。

誰もいない教室は少し寂しかった。

トイレを確認する。

(そういえば、コピー足りてるかな)

教員室に戻り、引き出しを開けた。

(足りない分、コピーしとこっかな。)

その時だった。美智子が出勤してきた。

あの日から、始めて二人になる。

一瞬空気が止まった。

「おはようございます。」

佳央莉は笑顔で美智子に声をかけた。

美智子はその声に驚きそして少し安心もした。
「今日、出勤して何したの?」

「トイレの確認と今からコピーの足りない分を取ろうかと・・。」

「そんなことより来たらまずカーテン開けて。」

美智子の声は低く感じた。

目を合わせていない分、そう感じてしまったのかもしれない。

(あの日のことと業務は別。切り替えないと)

「そうですね、すみません。」

佳央莉は急いでカーテンを開けた。

朝の温かい太陽の陽射しが佳央莉の顔を照らした。

「それから、各教室の確認はしたの?」

「まだしてないです。」

「それもしてね。コピーなんて後でいくらでもできるから。」

「すみません。」

佳央莉は急いで教室へ行き、各教室の確認をした。

「まず、来たらこれらをしてくださいね。」

「分かりました。」

佳央莉は頭を下げた。

沈黙が続く。

(空気重いな)

何分経っただろう。廊下を歩く足音がする。

「おはようございます。」

「おはようございます。」

美智子は笑顔で北川に答える。

(他の人にはあんな感じなのにな)

佳央莉は思う。

(他のひとにはこんな風にできるのに)

美智子は思う。

鞄から持ち物を出しながら【二人】想うのだった。

 

朝の太陽の光が眩しかった。

その光が佳央莉の顔を照らした時

美智子の心にも光が射す。

「今日は天気いいですね、暖かい。」

北川が美智子に声をかけた。

「ほんとにそうですね。」

美智子は答える。

(温かい光だ)

美智子は思った。

佳央莉は振り返り、カーテンの外に広がる空を見上げた。

 

沙耶と会って数日が経っていた。

沙耶は昔と変わってなかった。

あの屈託のない笑顔。笑い方。しぐさ。

懐かしくもあった。

佳央莉との生活が【幸せ】じゃないわけじゃなかった。

【満足】していないわけでもなかった。

(求めすぎなのかな、俺)

佳央莉がふと見せる【顔】。

笑わない【笑顔】。

(本当に俺のこと好きなのか?)

不安になる。確かめたくなる。

沙耶から連絡があった時

好きと言われること

必要とされることを確かめたかったのかもしれない。

 

けれど違った。

必要としているのは【誰なのか】。

そこに気付く。

いくら沙耶が俺の名前を呼んでも

【心】には届かない。

俺が佳央莉に名前を呼んだら

佳央莉の【心】に届いているのか。

不安と焦りがこみ上げる。

 

「そんな顔、見るの嫌なんだよ。」

ひどい言葉だ。

言った自分が情けなくなる。

沙耶は見せまいと必死だったろう。

【俺のため】に。

佳央莉はどうだろう。

祥はハッとする。

「佳央莉さ、【俺のため】に何してくれてる?」

そう言ってしまったことがあった。

沙耶と比べていたのかもしれない。

佳央莉は気づいていたのかもしれない。

 

空を見上げると、雲一つない綺麗な空だった。

「今日は天気がいいな。」

祥は呟く。

佳央莉の顔が目に浮かんだ。

 

朝の太陽の光は温かく射していた。

 

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