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Visual【幸せ】をつくるもの 【ネット小説】

空を眺めていた。

雲ひとつなかった。

風が心地よかった。

 

入社して、美智子のことを見ていた。

顔を合わせることや目を合わせることはなかったけれど

【声】や【感じ】で仕事の様子は分かる部分もあった。

美智子はきちんと仕事をこなす人だった。

目の前にある仕事は確実にこなしていくし

次に何をするべきなのか、他の職員が仕事をしやすいように

配慮しながら仕事をする人だった。周りの見える人だった。

うまく職員とも付き合いながら、仕事もする。

理事長からも【信頼】されていたし任されてもいた。

納得もいく。

この職場をよく把握している人だな、と感じた。

だから、仕事の事を言われたことも

佳央莉は嫌とも思わなかったし

当たり前のことだとも思った。

 

(あたしに足りないのも)

目を開ける。

(あたしがしなければならないこと)

佳央莉はゆっくり歩きだした。

休憩はもうすぐ終わる。

受け入れることはしたけれど

【知る】ことをしようとしない。

【向き合う】ことをしていない。

気付いたけれど、顔がなかなか上がらない。

それが何故なのか。

佳央莉にはまだ分からなかった。

 

祥は佳央莉との時間を大事にしようと思った。

これまで以上に。

【佳央莉】を大切にしようと思った。

必要なのは【言葉】なんかじゃなく

【佳央莉自身】だったことに気付く。

分かっていたのに、それを伝えきれていたのだろか。

佳央莉に【届いていた】のだろうか。

【君が必要】だということを。

 

仕事を終え、帰り路、家の明かりだけが道路を照らす。

佳央莉は思う。

【向き合う】のは【美智子】ではなく

まず【自分自身】で

それが【クリア】になっていないこと。

だから、下を向いてしまうこと。

 

子どもがいないこと、貯蓄のこと、祥のこと。

【何を基準】に【クリア】にするのか。

(結局、なにが【基準】なの?)

佳央莉は上を向いた。

少しだけ輝く星。小さな光。

【幸せ】ってなんだろう。

佳央莉は思うのだった。

 

家に帰ると祥がご飯を作って待っていてくれた。

「え?すごい美味しそう!」

「今日は俺が作ったの。いつも作ってもらってばっかだからさ。」

祥が照れくさそうに笑う。

「親子丼じゃん!これ難しかったでしょ?」

「うーん・・。少し煮込んで佳央莉が帰るって連絡ある前に

卵落としたくらいよ?」

佳央莉は思わず気が抜ける。

(かなわないな、こういうところ)

「あたし、親子丼なかなかうまくできないよ・・。

祥の方が美味しそう!」

本当にそうだった。

まるでお店にあるみたいに卵がつややかだった。

「お味噌汁もあるから。これは佳央莉にはかなわないね・・。」

祥が肩をすくめる。

お味噌汁には、お豆腐と小松菜、大根、ニンジンが入っていた。

「お野菜たっぷり!早く食べたい!」

「じゃ、着替えておいで。今日もお疲れ様。」

祥はお味噌汁と親子丼の器を出し、お味噌汁を注ぎ始めた。

佳央莉は2階へ上がり、洋服を着替え、部屋着を着る。

(こういうのが【幸せ】なんだ)

「食べよー。」

「いっただっきまーす。」

二人で親子丼を食べる。

ほんのり甘く、卵が少しとろみがかって本当に美味しい。

「この時間が一番幸せだね。」

祥が言う。

「ほんと。だから頑張れる!」

本当にそうだった。

この【時間】があるから何でも乗り越えれること。

 

「今、佳央莉すっごい幸せそうな顔してるよ。」

「それ、美味しいもの食べてるからじゃなくて?(笑)」

「そうなんじゃん?(笑)。」

こんなたわいもない会話が【幸せ】だった。

 

【幸せ】の基準はここにある。

佳央莉はそう想った。

誰が決めるものでもない。

 

何かが少しクリアになった気がした。

 

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