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Visual それぞれの道【ネット小説】

「主人と話をしました。話をした結果

やはりお仕事を続けていくことは難しいだろう

という判断に至りました。」

佳央莉は理事長の前で頭を下げていた。

沈黙が続く。

「よく考えてのことなのね?ご主人とも相談したした結果ね?」

「はい。」

目を一切逸らすことなく、理事長を見つめる。

その目に【迷い】などなく

【決断】しかなかった。【潔さ】さえ感じた。

「よほどの【覚悟】があったことでしょう。」

理事長が一息つく。

「分かりました。」

「これだけはお伝えします。誰が悪いとか、そういう理由では

ありません。あの時のことでもありません。」

理事長は黙った。

「確かにあの時は、それで済む問題でしょうか、とお伝えもしました。

けれど、時間が経ち、私の中で考えたように

川口さんも考えられたこともあったと思います。」

「彼女のことは【信頼】してるわ。」

「それをよく分かっています。知っています。」

「これからもしここで仕事をしていく中で、私も川口さんに

【信頼】されたいと思いました。」

「そうね。」

理事長はうつむいた。

「そこまで仕事ができるようになりたかったな、そう思います。」

理事長は佳央莉を見つめる。

「大変お世話になりました。」

それは、突然の退職だった。

【時間】の問題だったかもしれない。

理事長はそう思った。

もう少し【気づく】べきだったかもしれない・・。

それでも、あの佳央莉の真っすぐな目は

【潔さ】にはかなわなかったかもしれない。

 

佳央莉は【時間】の問題かな、と思っていた。

どこまでやれるか【向き合える】のか。

そこが大事なところなんだ、と。

【向き合う】ものが何だったのか気付いた時

【幸せの基準】が何か気づいた時

すべてが【クリア】になった気がした。

 

美智子の言葉を【許す】こと。

【許す】というには彼女を知らなさすぎること。

けれど、あの【言葉】で気づかされたこと。

 

正直、傷つかなかった、と言えば嘘になるかもしれない。

子どもがいないこと、貯蓄もあまりなこと、祥のこと。

 

それでも佳央莉なりの、【真鍋】の【幸せ】はあったし

【幸せ】を二人で作ろうと想う。

それに気づかせてもらえたのなら

美智子の【言葉】も

【これから】の【二人】には【必要】だったのかもしれない。

そう佳央莉は思う。

 

「真鍋さん、退職するのよ。」

美智子は言葉を失った。

【時間】の問題だった。

【時間】はかからなかった。

(あー、あの笑顔はもう見れなくなるんだ)

ふと寂しくなる。

自分にはない笑顔。だから、見たかった。

「そうなんですか。」

言葉が見つからなかった。

「彼女自身が【覚悟】して【決断】したことだから。」

理事長の顔は外に広がる空をじっと追いかけていた。

 

佳央莉がいなくなった職場はなんだか少しだけ寂しく感じた。

それでも、職場のみんなは変わらず業務に勤しむ。

美智子も業務に追われた。

 

数日が経った。

「お疲れさまでした。」

そう言い残して、教員室を出た。

車のキーを出す。

駐車場まで少し歩き、外の風はまだ少し肌寒かった。

車のキーを差し込み、車のエンジンをかけ、少し走り出した。

 

すると、佳央莉を見かけた。

佳央莉が【笑顔】で会釈をした。

あの時から、初めて目を合わせた【瞬間】だった。

(本当に素敵な【笑顔】をする人だ)

美智子は想う。

(どうしてもっと早く知り合わなかったんだろ)

バックミラーに佳央莉が映る。

どんどん小さくなる佳央莉。

なんだか愛しくさえ思った。

 

佳央莉は【偶然】職場の近くを歩いていた。

【偶然】美智子の車が目の前を通り過ぎる。

美智子の車など知るはずもないのに。

会釈をした。

あの時以来、初めての。

美智子は、【笑顔】で会釈を返してくれた。

(あんなに素敵な【笑顔】をする人なんだな)

佳央莉は想う。

(川口さんをもっと知りたかった)

車が曲がる。

(もっと話がしたかった)

 

佳央莉は夕焼けの空を見上げ、そう想った。

 

Visual 完

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